日常臨床における腎機能評価法 [腎臓病]

腎機能評価法
①糸球体濾過量(GFR)
②有効腎血流量
③尿細管機能 酸排泄、尿濃縮

GFRの推算式
①Cockcraft-Gaultの式
②MDRD推算式
③日本人のGFR推算式

シスタチンC
①低分子
②すべての細胞から生産
③糸球体で濾過→尿細管で再吸収・分解
(血清クレアチニン値より早く上昇→血清クレアチニンより感度がよい)

血清シスタチンCと血清クレアチニンの相関
シスタチンCに比べクレアチニンは10倍多く血中に存在
①血清クレアチニン値3mg/dlまでは血清シスタチンC値は直線相関。
その後は(血清シスタチンCが腎臓以外から排泄されるため)直線性を失う。
②血清シスタチンC値は腎機能が中等度低下すると腎機能の推定は困難。
③血清シスタチンC値派甲状腺機能亢進症で低値、糖尿病・ステロイド使用で高値を示す。

クリアランス試験(イヌリン、クレアチニン)の比較
①クレアチニンは糸球体濾過以外に尿細管から一部排泄される→イヌリンクリアランス試験より過大にGFRが評価される。
②クレアチニンクリアランスを0.715倍するとGFRに近似できる。
③イヌリンクリアランスはGFRのごーるどスタンダードである。

イヌリンクリアランス試験が保険適応になった。
簡易法により比較的簡単に測定できるようになった。

推算式で最も正確なのはCrとシスタチンCを併用した推算式である。

http://www.univadis.jp/ContentAdminLibrary/Player.html?Title=%E6%97%A5%E5%B8%B8%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%85%8E%E6%A9%9F%E8%83%BD%E8%A9%95%E4%BE%A1%E6%B3%95&Scr=rtmp://vlib02.banyu.co.jp/vlib/wadai/2321_1000k.flv&Style=PlayerStyle


カルテに「安定」書くべからず [その他]

入院患者46人の看護観察カルテを対象に、「obs stable(observations stable:所見安定)」の記載の妥当性を後ろ向き研究で調査。
78%で「obs stable」の記載が見られた。そのうち71%で記載前24時間以内に頻脈などの異常が記録されており、「obs stable」は使用すべきではないと示唆された。

文献:Scott G et al.Relevance of the expression “obs stable” in nursing observations: retrospective study.BMJ. 2011 Dec 20;343:d7504.
http://www.bmj.com/content/343/bmj.d7504

http://www.m3.com/news/THESIS/2011/12/27/11850/?portalId=mailmag&mm=EA120111_111&scd=0000163094

体重と膝OA [リハビリテーション科]

体重減少は膝OAの最適治療
肥満は,変形性膝関節症(膝OA)の危険因子である。ウェイクフォレスト大学(ノースカロライナ州ウィンストンセーラム)健康運動科学部門のStephen P. Messier教授は,肥満を伴う中高年膝OAを対象に18カ月間にわたる低~中等強度の運動と併せた集中的ダイエットの効果を検討したIDEA(Intensive Diet and Exercise for Arthritis)試験から,体重減少が痛みを最大51%軽減させたことを当地で開かれた第75回米国リウマチ学会(ACR 2011)で報告した。

対象は,過体重または肥満(BMI 27~40.5)で痛みを伴う55歳以上の膝OA患者454例(平均年齢65.6歳,女性72%,白人81%,平均BMI 33.6)で,ダイエットのみ行うD群(152例),運動も行うD+E群(152例),運動のみのE群(150例)に割り付け,18カ月経過後の効果を検討した。

ダイエットはベースラインから10%以上の体重減少を目標に段階を追ってカロリー摂取制限を厳しくした。
運動は15分歩行した後に20分のウエイトトレーニング,さらに15分歩行する低~中等強度の運動を週3回行った。
18カ月間の治療完遂率はD群85%,D+E群とE群それぞれ89%,体重減少の平均は順に8.9kg(9.5%),10.6kg(11.4%),2.0kg(2.2%)であった。

膝OAの健康関連QOLの疾患特異的尺度Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)の痛みスコアの低下は,D群ではベースラインの6.6から治療後4.8(27%の低下),D+E群では6.7から3.3(51%),E群では6.1から4.4(28%),機能スコアの低下はそれぞれ24.8から17.3(30%),24.6から13.0(47%),23.1から17.5(24%)と,D+E群はD群,E群に比べて低下度が有意に大きかった。

歩行速度(m/秒)は,D群では1.18から1.30(10%増加),E群では1.23から1.30(6%)に対しD+E群では1.20から1.34(12%)と増加度が有意に高かった。
痛みスコア,機能スコアの改善はD群およびE群では治療6カ月目までに顕著で,その後は改善がなかったが,D+E群では18カ月にわたり改善が見られた。

出典 Medical Tribune 2012.1.5
版権 メディカル・トリビューン社

コンピュータX線撮影の画像に黒点

関東でコンピュータX線撮影の画像に黒点
関東周辺の医療機関から、「コンピュータX線撮影(CR)の画像に黒い点が認められる」という報告が相次いでいる。
黒点は、東京電力福島第一原子力発電所から放出された微量の放射性物質の影響を受けたものとみられ、CR装置を販売する各社は対応に乗り出している。

CRでは、X線フィルムの代わりに再使用可能なイメージングプレートを使う。
イメージングプレートは、人体に影響のない宇宙線やわずかなX線などの放射線も検出できるほど感度が高い上、放射線のエネルギーを蓄積して記録する機能があるため、放射線の強さと照射時間に比例して、記録量が増加する。
イメージングプレートを装填するカセッテに放射性物質が長時間付着すると、微弱な放射線が蓄積して画像上に黒点となって現れる。

CR画像に黒点が頻出する現象は、これまで埼玉県や茨城県、東京都などの医療機関から報告されている。
富士フイルム メディカルは問い合わせを受け、ウェブサイトで同現象の原因や対処方法について告知。
黒点が現われた場合は、カセッテおよびイメージングプレートの裏表のクリーニングやCR装置撮影面側の全面クリーニングを実施し、長時間使用していないカセッテやCR装置については撮影前に一次消去するように呼び掛けている。
同社の担当者は、「一次消去は、毎朝実施すればいいのではないか」と話している。

出典  NM online 2011.3.24
版権 日経BP社

<私的コメント>
現在では、こういった黒点がCRで出なくなっているのでしょうか。


強化血糖コントロールによる2型糖尿病患者と全死亡 [糖尿病]

強化血糖コントロールによる2型糖尿病患者の全死亡減少見られず
2型糖尿病患者の強化血糖コントロールに全死亡率を低下させる効果は認められないとするメタ解析結果が,デンマークのグループによりBMJの11月24日号に発表された。

同グループは,2010年までに報告された2型糖尿病患者の強化血糖コントロールと通常血糖コントロールのランダム化比較試験を対象にメタ解析を行い,全死亡,心血管死,非致死的心筋梗塞(MI),細小血管障害,重度低血糖を比較した。

解析対象は14試験で,2万8,614例(強化コントロール群1万5,269例,通常コントロール群1万3,345例)が含まれた。その結果,通常コントロール群と比較した強化コントロール群の相対リスク(RR)は全死亡が1.02,心血管死が1.11でともに有意差は認められなかった。
メタ解析より精度が高い遂次解析では,全死亡の10%を超えるRR低下は否定され,心血管死に関してはデータが不十分であった。

メタ解析では非致死的MI,細小血管障害全体と網膜症のRR低下が示されたが,遂次解析ではいずれも有意な低下ではなかった。腎症では有意なRR低下は見られなかった。

一方,強化コントロールによる重度低血糖のリスク上昇は明らかで(RR 2.39),遂次解析ではRRの30%上昇が認められた。

Hemmingsen B, et al. BMJ 2011; 343: d6898.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/22115901

出典 Medical Tribune 2011.12.22
版権 メディカル・トリビューン社



ワクチン接種は筋注か皮下注か?

不活化ワクチンは全て筋肉注射にしましょう
http://medqa.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?messageId=108789

ちなみに私が子宮頚がんワクチン以外は添付文書通りに皮下注で行っています。
注射時の疼痛も余りなく、子ども達には好評です。
効果については、筋注と比較すたことがないので不明です。
添付文書に従うのが開業医のスタンスと理解しています。


ニューキノロンとNSAIDs

ニューキノロンとNSAIDs 併用してますか?
http://medqa.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?messageId=26209


ニューキノロン系抗菌剤とロキソニンの併用は
http://medqa.m3.com/doctor/showMessageDetail.do?messageId=63584

薬剤処方は控え目が原則 [その他]

ハーバード大学(ボストン)のGordon D. Schiff准教授らは「薬剤処方は控え目を原則にする(conservative prescribing)ことが患者にとって有益である」との総説をArchives of Internal Medicine(2011; 171: 1433-1440)に発表した。

処方量は少なく実績は多くの原則に移行
Schiff准教授らは,研究の背景情報として「65歳未満の60%超が年1回以上の薬剤処方を受けているが,必ずしも診察のたびに処方が必要な患者ばかりではない」と指摘。
また,慎重な薬剤選択を推奨する理由として,予期せぬ副作用が相次いで報告されている現状を挙げている。

同准教授らは,薬剤処方を抑えるために取りうる一連の手順を概説。
「より適切,合理的,慎重もしくは用心深い処方といった標語も用いられているが,conservative prescribingは,よくいわれる“first, do no harm(まず有害でないこと)”という医師の原則を超えたアプローチを示している」と述べ,conservative prescribingのために以下の手順を推奨している。

(1)まず非薬物治療・予防策を考慮する。他の介入が有効ではないか,治療ではなく予防は可能かなどの可能性を考える

(2)より計画的な処方を行う。薬剤選択について正しく理解しているか,新薬に切り替える正当な理由があるか,複数の薬剤の使用が避けられないかを考える

(3)副作用に対する警戒を怠らない。潜在的薬物反応について患者に確認しているか,警戒すべき徴候を患者に伝えているか,選択した薬剤は禁断症状や再発を起こす可能性はないかを確認する

(4)新薬と新しい適応には慎重かつ懐疑的に接する。新しい治療法に関する情報をどこで入手するか,新薬の実績が増えるまで使用を待てないか,その薬剤は適応があり治療に有効かなどを考慮する

(5)検討課題を共有するために,患者とともに熟慮を重ねる。以前に用いたが奏効しなかった経験がないか,効果が見られない原因は患者の服薬不履行ではないかを確認する

(6)長期的で広範囲の効果を考慮する。別の治療の方が将来的に有害性が小さい可能性はないかを検討する

同准教授らは「これらの原則はいずれも特に新しいものではなく,大きな議論を呼ぶものでもないが,総合すると“newer and more is better(より新しく,より多く)”から“fewer and more time tested is best(処方量は少なく,実績は多く)”へのパラダイムシフトを表している」と説明。
処方を決定する際には,特に新薬や臨床実績がない薬剤についてより慎重に判断するように推奨し,「臨床医は常に,必要な薬剤の処方を控えてしまうことのリスクに対して,conservative prescribingの便益を重視しなければならないが,少なくとも,患者を薬剤によるリスクにさらす前に,より高い基準で有効性のエビデンスを求め,その検討結果の立証責任を果たすよう努めるべきである」と強調している。

出典 Medical Tribune 2011.12.8
版権 メディカル・トリビューン社


厚労、保険診療への消費税非課税見直し要望

厚労、保険診療への消費税非課税見直し要望-政府税調、一体改革「素案」に向け意見聴取
政府税制調査会は12日に総会を開き、野田佳彦首相が年内策定を指示した政府・与党の社会保障と税の一体改革成案を具体化する「素案」に向けた議論を開始した。
この日は各省庁から、消費税に関する要望をヒアリングした。厚生労働省は、社会保険診療などへの消費税を非課税にしている現行制度の見直しを求めた。

社会保険診療や介護保険サービスは、高度の公共性を有する観点から、消費税が非課税となっている。一方、医療機関や保険薬局、介護サービス事業者の仕入れにかかる消費税については、課税扱いであるため、診療報酬および介護報酬を通じて、消費税分を上乗せすることで、医療機関などに負担がないようにしている。

厚労省からは、辻泰弘副大臣が出席。
保険診療などへの消費税非課税の措置について、「一部の医療機関において、診療報酬などによる消費税部分の上乗せは十分でなく、仕入れに要した分の消費税の一部が還付されていない状態になっている」との現状を報告。
一体改革成案で、2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保するとしたことを踏まえ、「消費税を含む税体系を見直す場合には、保険診療などにかかる消費税の在り方を検討していく必要がある」との見解を示した。

この日の総会終了後に記者会見した五十嵐文彦財務副大臣は、「きょういろいろご指摘をいただいた。これから論点を整理し、年内に素案を取りまとめたい」と語った。
今後は、政府税調の下に設ける作業チームが、個別案件を検討した上で、素案のたたき台を作成。
それを総会で審議し、税調としての方向性を出すことになる。

医療介護CBニュース 12月12日(月)17時26分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111212-00000002-cbn-soci

水摂取量と血糖 [糖尿病]

毎日の水摂取量が少ないと高血糖になりやすい
毎日の水の摂取量が少ないと高血糖になりやすいと,フランスのグループがDiabetes Careの12月号に発表した。

水の摂取量は抗利尿ホルモンのバゾプレシンの分泌に影響を与える。
最近の研究で,バゾプレシンの代替指標である血中コペプチン値と糖尿病リスクとの独立した関係が示唆されている。

同グループは,空腹時血糖値正常の中年男女3,615例を9年間追跡。毎日の水の摂取量により3群に分類し,空腹時血糖値110mg/dL以上または糖尿病治療中と定義した高血糖発症のオッズ比(OR)を算出した。

追跡中の高血糖発症は565例だった。交絡因子補正後,毎日の水の摂取量が0.5L未満の群を参照群(OR 1.00)とすると,0.5〜1.0L群と1.0Lを超える群のORはそれぞれ0.68,0.79で,日常的に水の摂取量が少ないことは高血糖の危険因子であると考えられた。

Roussel R, et al. Diabetes Care 2011; 34: 2551-2554.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/21994426

出典 Medical Tribune 2011.12.8
版権 メディカル・トリビューン社

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。